2021年4月8日木曜日

ご入学おめでとうございます。

 春の暖かな日差しの中、新しいデザインの制服を着た入学生が登校してきました。2021年度の入学式を厳粛な雰囲気の中で執り行うことができました。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から新入生と教職員のみの開催といたしましたが、保護者の皆様のご理解をいただき無事挙行できましたことを心から感謝いたします。コロナ禍がまだまだ続く中で、新たな場での高校生活を迎える新入生の成長を楽しみにしています。


2021年度 岡山県作陽高等学校 入学式 校長式辞

 歴史を偲ばせる津山城の石垣が我々に落ち着きと安心感をもたらせてくれています。その日本でも有数の名跡である津山城の石垣に、吉井川をはさんで対峙する、ここ岡山県作陽高等学校に入学する皆さん、おめでとうございます。新入生の皆さんは新型コロナウイルスによる世界的混乱の中で進路決定をしなければなりませんでした。それに対して愛情をもって支えてこられたご家族や関係する方々にも敬意を表し、心からお喜び申し上げます。

 本来であれば、この入学式は多くの来賓の方々や保護者の皆様方にご来場いただき、みなさんの前途を祝して頂くべきものであります。しかし感染拡大防止の観点から新入生のみの式典といたしました。このウイルスのために2020年度は多くの学校行事が中止または縮小しての実施となりました。コロナ禍の終息の見通しはたてられない状態ではありますが、過去の歴史を振り返ると世界は新型コロナウイルスと共存していく方向に進んでいくと思います。作陽高校も少しずつ、しかし確実に前に進んでいきますが、この混乱の中で、君たちは新たな環境で高校生活を始めることになります。

 作陽高校は1930年に創設者松田藤子先生によって「大乗仏教に基づく豊かな人間性の涵養」を建学の精神として開かれました。これは簡単に言うと「他人を思いやる心や感動する心を育てる」ということです。今から91年前の昭和5年に今後どんなに文明が進もうとも人としての原点は心にあるとの松田藤子先生の思いから作陽高校は設立されました。利便性や採算性を重要視する時代になっている今だからこそ、原点である心の教育がより重要だと作陽高校は考えています。今、世界的混乱の中に置かれている私たちはそこに気付くチャンスが与えられています。快適が当たり前の生活から不便を強いられる生活になりました。1年数ヶ月前の当たり前の日々が、どれだけありがたいものなのかということに気が付かなければなりません。それに気づけばあらゆることに感謝の心を持ち、それに報いるために物事に懸命に取り組むことができるはずです。困難に直面し壁に突き当たった時であっても、それが自分を大きく成長させるチャンスであると常に前向きにとらえられるよう感謝の心を持つことができれば、この世界的混乱からの復旧に大きなパワーを与えることになるでしょう。心に火がつけば、人は大きく変わることができるのです。

 君たちは、それぞれに願い・思いをもっているとおもいます。作陽高校で君たちの持っている夢、目標は実現可能です。この全世界的混乱の中で入学式を迎える君たちには、自分の願い想いを確認し、さらに強めて、将来に向けての気持ちを固めて高校生活を始めてもらいたいと思います。君たちのこれからの活躍を期待します。

                           令和3年4月8日

                           岡山県作陽高校学校 校長 野村雅之